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おはようございます!メリークリスマス!🎅
◎小泉週報は土曜日の朝に楽しい気分をお届けするニュースレターです。
月の最後の◎小泉週報は、本や映画のレビュー、買った商品などをまとめた「▲小泉裁判」をお届けします。
素晴らしい作品、感動した作品は「私の心をかき乱した罪」として、小泉裁判長より
厳正なる判決が下されます。
皆様、世紀の大判決にお立会いください。
💎「ハズバンズ」

左からピーター・フォーク、ベン・ギャザラ、そしてジョン・カサヴェテス!
💘映画鑑賞で流した涙の量でいえば「壊れゆく女」がぶっちぎりで1位、私はジョン・カサヴェテス監督が世界で一番好きだ!!!
(クリスマスの朝に窓を全開にして叫びたい🎄)
ファンなら全作品コンプリートがマストだと思いますが、「ハズバンズ」は国内版DVDの販売がなく(アメリカでもDVDが2020年にやっと発売されたらしい)仕方がないので関連本に載っているあらすじや写真を眺めては、
あーあ、死ぬまでに一度は観たいハズバンズ、と切実に願うばかり。
しかしなんとU-NEXTで字幕付きで観られることを最近知りました。
「灯台下暗し」とはこのこと。わたし、かなりの情弱でした。
物語はシンプルです、仲良し4人組のおじさんのうち1人が亡くなり、残された3人が雑に「自分探し」をする話です。
カサヴェテスの映画の素晴らしさは、繊細な人間が雑に問題を乗り越えようとして、痛い目見るところにあります。
中年男3人組は葬式で「嘘をつくから寿命が縮むんだ」という独自理論を展開し、
悪ノリで家族を置き去りにしてロンドンで「飲む・打つ・買う」とありがちな暴れ方をします。
ゲスの極みアメリカ人です。
結局このおじさんたちはいろいろ失ったあとで「自分」なんか常に矛盾してるのだから、「本物の自分」なんかないことを知るわけです。
切ないね。
あー、カサヴェテス。本当にあなたは超有罪です。
ついでにこんな尊い映画を国内で唯一流通してくれていたU-NEXT、あなたもですぞ!

L❤O❤V❤E❤
ちなみに、映画のラストに出てくる
「パパ、どこに行ってたの?ママがカンカンだよ」
と、ド正論をシンプルに突き付ける少年ニックは、ニック・カサヴェテスとして、全世界のゼロ世代女子のハートを鷲掴みにした恋愛映画「君に読む物語」の監督になるのでした。
(雨に濡れたライアン・ゴズリング、かっこよすぎるのでもちろん有罪)

それな
💎日刊 イ・スラ
💘晴れた日の神楽坂でのこと。
友達の個展を見たあとに、AKOMEYA食堂で1人ランチ(ごはんおかわり2回)、腹ごなしを兼ねてカモメブックスに立ち寄ると、平積みされた「日刊イ・スラ」という本を見つけました。

夕方のデニーズで撮影
27歳の私は “毎日" 文章をメールで送り始めた。 学資ローン返済のために ひとりで始めた「日刊」連載プロジェクト。 恋人、家族、友人、文章教室、日々の運動。 愛すべき他人から発見した、私たちと“地続き"の話。
大学卒業後上京し、映画美学校に1年間通った私は(この話はまたいつか)入学金やその間の生活費などを奨学金から捻出しており、
「学資ローン返済のために」という帯文を見て、自分のスターテッド・フロム・ザ・ボトムな苦い上京生活を思い出したため、有罪確定です。
日本のことも書いてありました。日本旅行中に「三四郎」を読んだこと。
半分まで読んだところで、それがゆっくり進む小説であり、主人公が一冊かけてほんの少しだけ変化する小説だと気づいた。一人の人間が少し変化するだけでも、こんなにも数多くのシーンが必要なのかと思った。
こんなにシンプルに「三四郎」を説明する人がいるなんてと驚き、ページの角を折りました。
イ・スラの文章は流れるように美しく、静かで起伏がなくて、まるで江戸時代の風景画を眺めているような穏やかさがあります。
💎浮雲
💘あらすじはこちらです。ざっくりいうと、戦後の不倫カップルの話です。

倍速設定にしているかと確認してしまった。早口でセリフをしゃべる昔の日本映画
時代の倫理観を抜きにしたって、森雅之演じる富岡は本当にとんでもない男だった。
だって富岡に関わった女性は全員死んでるんですけど……。ホラーですか。
クズのくせに女をバカにして、ずる賢いくせに仕事の才能はなく、
自信のなさを意地悪で隠す男。
運命の女ゆき子に出会った時も、開口一番、
「地元どこ?東京?嘘つくなよ。千葉っしょ。だって訛ってるしwww」
など、基本はウザがらみ。
戦後、日本に戻って来たゆき子が生きるために必死な思いで売春しているのを見て、
「楽しそうだね」
とか言ってるんですよ。は? 今なんて?
耳を疑った私は映像を巻き戻しました。(しかし、はっきりとそう言っていた)
とはいえ時代は混乱し、「生きていくのが精一杯」という言葉通りの状況。
そんな中で出会った運命の相手なのです。

ラジオから流れるジングルベルに耳を傾けるゆき子(高峰秀子)メリークリスマス!
そして屋久島まで行き、やっと二人きりになれたというのに、
「地の果てまで来たとて、女はいる」ということに、改めて気づいた時の、ゆき子の悟りの表情を……見て……(泣)
(
屋久島って今は誰もが憧れるロハス的な観光地だけど、戦後は僻地も僻地、超最悪な湿地の島、1か月も耐えられぬ、みたいな描かれ方でした)
くっついたり離れたり、そんなぐずぐずの恋愛映画は、時短、コスパを求める現代人にとっては苦痛かもしれません。
しかしこれは決して退屈な映画ではありません。
年上男性からひどい嫌味を言われた時、どんな顔をすればいいのか、この映画は本当にしっかりと教えてくれます。
女優・高峰秀子演じるゆき子は基本「ひどいわ」と返すのですが、「ひどいわ」の演技が何パターンもあり(醒めた顔、顔を覆う、うっすら笑みを浮かべる、エトセトラエトセトラ……)高峰秀子、天才かよ……と思うのです。
そしてこの映画、物語は富岡とゆき子にとってみれば人生をかけた大恋愛でありますし、
また小津安二郎がこの映画を生涯ベストムービーとして挙げているので、とりま有罪ということで。(そんなことでいいのか)(いい)