#062 💎絵画が歩む人生

おはようございます!
土曜の朝の◎小泉週報です。

🌻答えは最後に🌻
この間ラジオで、「ゴッホ「ひまわり」返還求め保有のSOMPOを提訴」のニュースを聞きました。
87年に安田火災海上保険(現SOMPOホールディングス)がおよそ53億円で落札した、あの「ひまわり」はナチスによる迫害で強制売却させられた作品なので、正当な持ち主に返されるべきである、という訴訟です。
初めは「え~!言いがかりじゃん」と驚きましたが、調べてみるとアートに関する興味深い歴史と戦いがあることを知りました。
SOMPO系ひまわりは3枚ある🌻

花瓶に入ったひまわりの絵は7枚あり、SOMPOが所有しているあのバージョンの「ひまわり」は3枚。
オリジナルが左で、現在は英ナショナルギャラリーが所有しています。真ん中はアムステルダムのゴッホ美術館が所有、そして右側が我らが「SOMPOひまわり」です。
並べてみると違いがたくさんあっておもしろいですが、もう移動には耐えられないほど破損しやすくなっており、また環境の変化による変色の恐れがあるため、並べて展示することは実際は不可能だそうです。
そして今回のニュースの概要はこちらです。
損害保険大手のSOMPOホールディングスが保有するゴッホの代表作「ひまわり」の所有権をめぐり、ナチス・ドイツによる迫害で強制的に売却させられたとして、元の所有者の遺族が絵画の返還などを求める訴えをアメリカの裁判所に起こしました。
これに対しSOMPO側は「所有権の正当性に疑いの余地はない」として「ひまわり」の所有権を全面的に擁護していく姿勢を明らかにしました。
遺族は「ナチスにより奪われた作品だと知りながら購入し、商業的な利益を不当に得ていた」などとして、絵画の返還と、損害賠償としておよそ7億5000万ドル、日本円でおよそ1000億円の支払いを求めています。
これに対しSOMPO側は、正式な訴状を受け取っていないとしたうえで「35年前にオークションを通じて公式に購入したもので、所有権の正当性に疑いの余地はない」として、「ひまわり」の所有権を全面的に擁護していく姿勢を明らかにしました。
今回訴訟を起こした元所有者メンデルスゾーン=バルトルディの相続人は、他の美術館に対しても複数訴訟を起こしており、実際に所有権を取り戻し和解したケースも。

メンデルスゾーン=バルトルディの肖像画。作曲家のあのメンデルスゾーンの弟だそう!
また、戦争中にナチスによって略奪された、または強制的に売却せざるを得なかったとされる絵画の数は約 600,000 枚にのぼるそうで、言いがかりとはとても言えない背景がありました。
オーストリアは 30,000 点以上の美術品、書籍、文化財を返還し、ドイツは公立博物館や図書館から 16,000 件以上を返還、またスイスの富豪の娘は、父親のコレクションの中に疑わしいものはないか、85,000 個のコレクションを調査させたそうです。
ちなみにSOMPOは(もちろん)この絵がナチス迫害に関係のある絵だと知って購入しており、遺族は「その出所を無視し、無関心だった」と訴えています。
原告側、メンデルスゾーン=バルトルディの3人の相続人たちの訴えによると、SOMPOホールディングスは子会社を含め、総資産が1,000億円を超えており、この絵画を「商業的に利用して継続的な物質的利益を得ている」とし、以下のように主張しています。
"安田火災海上保険は、「ひまわり」の出所について、メンデルスゾーン=バルトルディが1934年にベルリンでこの絵を売却したという事実を、故意ではないにしても無視し、無関心でした。
メンデルスゾーン=バルトルディはナチスによる政策と経済制裁により、1930年代半ばにゴッホ、ピカソ、モネ、ルノワールなどの作品を含むコレクションを売却せざるを得なかった「犠牲者」です”

1915年、メンデルスゾーン=バルトルディ氏の所有する独ベルニッケ城に飾られていた「ひまわり」--Van Gogh’s Sunflowers hanging in Schloss Börnicke (around 1915)Joseph Popp, Bruno Paul (book published in 1916)